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Art

By Naho Inoue on 2016.02.17

うつくしきふつう=雲の上の極上サウンド Grindelwald, Swiss=

世界の車窓から。

 

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たんぽぽ色の列車にしばらくゆられて出会えた景色は、テレビの中でしかみたことのない、柔らかく静かであまりにもうつくしいものだった。

日本が誇る世にも美人なマウント富士の身長をサラリと超えるイケメンな山脈たち。ここはアルプス。村を、いのちを包み込むようにぐるりとそびえ立つ山々の姿はまさに威風堂々、いたるところで豊かな雪解け水が滝となって山肌を潤している。

 

 

ひもじく凍える8月

 

訪ねたのは8月。しかしそこは標高何千メートルのアルプス山脈のど真ん中。穏やかな日差しに喜びを感じながらも着ているのはダウンジャケット。
パンチの効きすぎているスイスの物価にわたしの金銭事情は到底追いつけなく、なんとも暖かそうなホテル群を横目にガスもないキャンプでスープをすすりながら生き延びていた。

 

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しかしそこはアルプス。数千メートルの山の中でしか見れない朝イチの絶景に、ハイジやクララが過ごしたどこまでも続く芝生と花畑の山々は一度は踏み入れてみたい土地だった。

 

 

サウンド・オブ・カウベル

 

さて、いざハイキング。ケーブルカーでさらに1000mほど登ったそこは、湿った芝生がひたすら広がった先に雪に覆われた山々。

 

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息を飲むほどのエナジィに満ちた自然を前に、お花畑で土足でルンルンするようなものではなく、表情豊かに変わる厚手の雲とこれから日没までに麓へ無事たどり着けるだろうかという緊張感で一気に身震いが襲う

 

深呼吸をする、とひんやりとした澄みきった空気が脳みそから爪先までぐわぁぁぁぁぁぁぁっとわたしの全てを浄化するように入って抜けていく。

 

 

 

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そんなこの360度パノラマの肌寒い場所での、これ以上ないバックミュージックをくれたのは。

 

 

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芝の主たち。今でも褪せず、一生の中でもかなりの衝撃といえるそのカウベルのサウンド。深くのびやかなその音色は、彼らがどこかで歩くたびにカランカラン(もっと深い音の表現が本当はしたい)と絶えず響きあい、なんの障害もないただっ広いその標高数千メートルの大地のなか、遠く、遠くまでどこまでものび、溶けてゆく。

 

 

最高だ。

 

 

ふと父と母を思い出す。決して楽ではないこの地だが、なんとしてでもいつか一緒に歩きたい、この極上の空間に溶け合いたいと望んだ。一切の通信を絶ち、ひたすら自然に対峙し、カウベルのほぐすような浸透してくるような音の中にいるからだろうか、たいせつなことやものの原点が垣間見えた気がした。

 

 

 

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Naho Inoue

旅するフォトグラファー。まばたきするように、日常に溢れている多彩な世界の表情を切り取る。自身の18年に渡る音楽経験を活かし、28beautyのうちのひとり、山崎千裕とその音楽を、呼応するように撮る。

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