The motion & The moment. #キューバの古都は馬の糞
ArtBy Hiroyuki Toyokawa on
<日本の古都は鹿の糞。キューバの古都は馬の糞。>
田舎町のサンタクララを出発したバスは、古都トリニダに到着した。
スペイン統治時代の古い建物が残る町並みとして世界遺産に登録されている。
そんなトリニダのバスターミナルで待ち受けていたのは、サンタクララにも増して熱気のこもった民宿の営業だった。
観光客を待つ姿は、まるで空港でスターの帰りを待つファンのように、
サインボードを持って狂熱的に営業コールを叫ぶのであった。
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トリニダの街を歩けば、地方都市ののどかな風景が広がる。
ここでは交通手段として馬が活躍している様だ。
屈強な体つきをした馬をたくさん見かけた。
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石畳のトリニダの街を歩いていると、足元には今しがた生み出されたばかりの馬の糞。
鹿の糞ならかわいい物だが、屈強な馬から生み出されるそれは、筋骨隆々とした立派なモノだった。
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キューバのどの都市においても、人と人の距離が近い。
ここトリニダでも例外ではなく、小さな商店の前で何する訳でもなく、
「あーでもない。こーでもない」と談笑するシーンをよく目にした。
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<人が発するエナジィが余韻となる>
キューバといえば、古い町並みやクラシックカーが目立ってしまう。
記憶のインパクトとしては、時代に取り残された町並みの印象が、直後の記憶として残りがちだ。
しかし、旅の記憶を思い返してみると、印象的に残っている記憶といえば、やはり人が生活する様子だった。
音楽やダンスに興じる人。
近所のおばちゃん達が談笑する様子。
道路の真ん中でボロボロのボールでサッカーをする子供達。
この国の一番の魅力は人だ。
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音楽やダンスの才は、潜在的に備わっているものだろう。
ストリートで演奏するのは、特別なことではない。
日常的にある光景で、毎日会話をするくらいのことかもしれない。
音楽やダンスに触れれば、本能的に沸き立つ静かなるエナジィ。
リズムに合わせて、体を動かさずにはいられないのだろう。
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一見の価値がある建造物も良いが、そのインパクトは一過性のもので消化が早い。
人が発する静かなるエナジィは、記憶に鮮やかな余韻を残す。
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続く。。