倒産したサラダチェーンを18万ドルで買い戻した創業シェフ。1店目から再出発
By Silent Energy Inc.[公式] on
米ビジネス誌 Inc. が、2026年8月に全店を閉じたアリゾナ発のサラダチェーン「Salad and Go」の続報を伝えています。共同創業者で最初のレシピを作ったシェフが、破産手続きの中でブランド名と商標とレシピを買い戻しました。
面白いのは、その値段と、買えなかったものの大きさの差です。18万ドルで名前は戻りましたが、通い慣れた店舗の多くは1億ドル超でコーヒーチェーンに渡っています。急拡大でつまずいたブランドを、生みの親が最初の1店から立て直す。そんなチャレンジを追いました。
A Salad and Go Founder Bought the Brand Back. Now the Comeback Faces 1 Major Hurdle (Inc.)
2013年、アリゾナ州ギルバートの小さなドライブスルー
Salad and Go の1号店は、2013年にアリゾナ州ギルバートで開きました。ドライブスルー専用の小さな建物で、安くて体にいいファストフードを出す。オレンジ色のボウルに入ったサラダが目印でした。このメニューの土台を作ったのが、創業時のシェフだったパティーニョさんです。
2021年、創業家はチェーンをプライベートエクイティに売却します。新しい株主のもとで、Salad and Go はテキサス、オクラホマ、ネバダへと店を増やしていきました。
急拡大の反動と、2026年8月の全店閉鎖
拡大のペースに、足元の稼ぐ力が追いつきませんでした。テキサスとオクラホマでは数十店を閉め、2026年1月には両州の残りの店もすべて閉じると発表します。本社もテキサス州コッペルからフェニックス周辺に戻し、アリゾナとネバダに絞って立て直しを図りました。
それでも持ちこたえられませんでした。8月4日に連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請し、8月5日の営業を最後に、残っていた約70店をすべて閉じます。会社が挙げた理由は、消費の冷え込み、コストの上昇、過去の成長戦略のつまずき、そして7月に外食業界で広がった食中毒(サイクロスポラ)への不安です。Salad and Go 自体は原因とされていませんが、客足の落ち込みが、足腰の弱っていた経営にとどめを刺しました。
買い戻したのは「名前とレシピ」だけ
パティーニョさんたちが払ったのは18万ドルです。対して、閉店した店舗の跡地を競売で落としたのはコーヒーチェーンの 7 Brew です。裁判所が承認した最終的な取引は、63か所でおよそ1億2345万ドル。そのうち36か所がアリゾナにあります。競売ではダッチ・ブロスも入札していました。
つまり、ブランドの名前とレシピは創業者の手に戻りましたが、お客さんが通い慣れた店の多くは、別の会社のものになりました。Inc. はこれを復活の前に立ちはだかる最大の壁として取り上げています。かつての店舗の多くにすでに新しい持ち主がいて、新生 Salad and Go が以前の場所でどこまで店を開けるのかは、まだはっきりしません。
それでも、足がかりはあります。グループはギルバートの旧店舗の賃借権を1ドルで手に入れ、メサにある2つのドライブスルーも確保しました。最初の店は、チェーンが生まれたギルバートで開く計画です。年内の再開を目指していますが、確かな日程はまだ決まっていません。

3人の再建チームと、作り方の見直し
パティーニョさんと組んだのは、アリゾナで飲食店を手がける Hospitality First Concepts のマイク・マイヤーズさんとトム・ミシターノさんです。マイヤーズさんは、このチェーンを特徴づけていた新鮮で質のいい料理、手頃な価格、心のこもったもてなしを取り戻したいと語っています。ミシターノさんは、自分たちを含めて誰もこの機会を予想しておらず、話は短期間でまとまったと振り返りました。
パティーニョさん自身は、会社が何をするか、どうやるかを自分が決められる立場になったことを強調しています。中身にも変化があります。料理は中央の工場で作って配るのをやめ、各店舗で仕込む方針です。看板だったレモネードは戻ってきます。ステーキやエビのメニューも検討中です。
長期的には直営店とフランチャイズの両方で北米に広げる構想ですが、まずはメニューと今ある店をきちんと回すことを優先すると話しています。急拡大でつまずいたチェーンを、最初の1店から組み立て直す順番です。
債権者に全額が返る、珍しい破産
7 Brew への店舗売却によって、無担保の債権者には全額が支払われる見込みです。代理人を務めた法律事務所 Reed Smith は、チャプター11では極めて珍しい結果だとしています。小さなドライブスルーの立地が、それだけの価値を持っていたということです。
場所の価値は残り、その多くは別の会社に渡りました。創業者の手元に戻ったのは、2013年に自分で作ったレシピと、ギルバートの店の鍵です。
2013年に最初のレシピを作った創業シェフが、倒産したブランドを買い戻し、1店から立て直しに挑む