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自然を守る計画はできた。足りないのはお金。COP17が認めた2030年目標に対する遅れ

Science

自然を守る計画はできた。足りないのはお金。COP17が認めた2030年目標に対する遅れ

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アルメニアのエレバンで開かれた国連の生物多様性会議COP17。約200カ国が、2030年までに陸と海の3分の1を守る目標に今のペースでは届かないと認め、新しい加速計画「エレバン・パスウェイ」に合意しました。Ars Technica が転載した Financial Times の記事は、その合意の陰で最大の壁として語られた「お金」の問題を伝えています。

目標の数字は分かりやすい一方で、それを支える資金や点検の仕組みはなかなか表に出ません。年2000億ドルの約束、空のままの基金、減り続けてきた支援。裏方の数字から、自然保護の現在地が見えてくる記事です。

The world has a new plan to save nature, but it still needs the money (Ars Technica)

出典:The world has a new plan to save nature, but it still needs the money(Ars Technica)
出典:The world has a new plan to save nature, but it still needs the money(Ars Technica)

アルメニアの首都エレバンで開かれていた国連の生物多様性会議COP17が閉幕しました。約200カ国の代表が2週間かけて確かめたのは、2030年までに世界の陸と海のおよそ3分の1を守るという目標に、今のペースでは届かないという事実です。最後は夜通しの協議となり、各国は取り組みを強める新しい計画に合意しました。その議論で何度も壁として名前が挙がったのが…お金です。

4年前に決めた3分の1という約束

目標のもとになっているのは、2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」です。陸と海の約3分の1を2030年までに保護する。4年前に各国が決めたこの約束の進み具合を点検するのが、今回の会議のゴールでした。

結果は厳しいものでした。会議は、これまでの保全の取り組みが遅すぎて、枠組の目標を現実的に達成できる状況にないと認めています。期限の2030年まで、残り4年ほど…はたして。

エレバン・パスウェイの3本柱

そこで合意されたのがエレバン・パスウェイと呼ばれる加速の計画です。2年後にエクアドルで開かれる次の会議までに進み方を立て直すための道筋で、柱は3つ。

1つ目は、自然に害を与える補助金や優遇策への対策を倍加することです。保護にお金を足しても、別のところで自然を傷つける側にお金が流れ続けていれば、効果は打ち消されてしまいます。蛇口を開けたまま床を拭いているような状態なので、まず流れの入り口を見直す必要があります。

2つ目は、途上国への資金・科学・技術の支援を増やすこと。
3つ目は、各国の進み具合を測り、報告する仕組みを強めることです。

どれも派手さのない柱ですが、3本をそろえると「お金がどこへ流れ、何が守られたのか」を追いかけられる形になります。目標を掲げる段階から、目標を支える仕組みを整える段階へ移ったとも言えます。

年2000億ドルの約束と、空っぽの基金!?

2022年の枠組で重要な柱だったのが、自然のために年2000億ドルを用意するという資金の約束です。保全団体ファウナ&フローラのグローバル政策ディレクター、キャサリン・ウェラーさんは今回の合意を歓迎しつつ、集まっている資金がこの約束に遠く及ばないと指摘しました。「1兆ドル長者がいる世界なら、私たち全員を生かしている自然の保護と回復に年2000億ドルを使う余裕は、当然あるはずです」。

主催者によると、会議にあわせて政府や慈善家、企業が表明した新たな資金は20億ドル近くでした。毎年の約束額と一度の表明額なので単純には比べられませんが、並べるとおよそ100分の1の規模です。

前回の会議で合意された基金も、ほとんど空のままです。遺伝資源から利益を得ている企業が自主的にお金を出す仕組みでしたが、拠出が集まっていません。カナダの元環境・気候変動相スティーブン・ギルボーさんはこの状況を「とりわけ残念だ」と述べ、資金は世界の生物多様性目標を達成するうえで最大の障害の一つだと語っています。「公的資金と民間資金を大幅に増やし、自然を害する補助金を改め、自然の危機の最前線にいる国や地域社会に資金が届くようにする必要があります」。

細ってきた支援の財布

背景には、長く続いた逆風があります。保護区や保全地域に向けた国際的な資金は、戦争やエネルギー価格の高騰による混乱が何年も続くなかで、多くの国で減ってきました。2026〜30年の期間について、環境分野の予算は27%の減少という見込み。

目標期限が近づくほど、財布が細っている。会議が「加速」を掲げる計画を作らざるを得なかった理由が見えてきます。

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森を伐らずに残す国へ、5億ドル

前向きな材料もありました。オランダは、ブラジルが立ち上げた「熱帯林永久基金(Tropical Forest Forever Facility)」に5億ドルを拠出すると表明しました。森を伐らずに立たせたままにしている国にお金を払う仕組みです。表明はオランダ議会で、ブラジルのルーラ大統領が再選された翌日に行われ、会議に参加していた多くの人を安堵させました。

ブラジルの生物経済担当の国家長官カリーナ・ピメンタさんは閉幕後、アマゾンの熱帯雨林を守ってきたルーラ氏の実績に触れ、こう語っています。「世界の不確実性が増すなか、エレバン宣言は力強いメッセージを送ります。世界の指導者たちは、生物多様性を守ることが食料安全保障、暮らし、経済の強さに欠かせないと認めたのです」。

自国の生物多様性計画を作る国が増えていることも、明るい動きです。キャンペーン・フォー・ネイチャーのディレクター、ブライアン・オドネルさんは、各国の計画づくりとブラジルの基金への新たな拠出を「慎重な楽観の理由」と表現しました。

次の会議までの2年間

自然保護の成果は、保護区の広さや新しい基金の発表で語られがちです。その手前には、自然を傷つける補助金を一つずつ見直し、途上国に資金と技術を届け、進み具合を測って報告するという、目立たない作業の積み重ねがあります。エレバンで約200カ国が合意したのは、この裏方の仕事を立て直すことでした。

エレバン・パスウェイの進み具合は、2年後にエクアドルで開かれる次の会議で問われます。そのとき2030年の期限までに残る時間は、およそ2年です。

4年前の約束を守るため、約200カ国が補助金の見直しや資金と点検の仕組みを地道に立て直している

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タグ
COP17, エレバン・パスウェイ, 昆明・モントリオール生物多様性枠組, 熱帯林永久基金, 環境資金, 生物多様性, 自然保護
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