うつくしきふつう=天国かNacula island,FIJI=
ArtBy Naho Inoue on
「離島を訪ねないでフィジーに来た〜!て言えないよ!明日からここを出なさい!」
ノープランで入国し、初日にお世話になったホステルのママにそう言われ追い出された。
町でカヴァを振舞ってくれたおじちゃんも、離島へ行けと言っていた。
(カヴァとは、巨大すり鉢で木屑のようなものを泥水で割り混ぜ合わせたようなもので、味はその表現通りの、一言で言うと飲み物ではない味。この国では友情の印、ウェルカムの印として嗜まれる。)
「ようこそ東京へ!観光しないでいいから明日から全ての日数を沖縄で過ごしなさい」
といわれたような不思議な感覚をもったまま、勧められるがままの早朝フェリーへと乗り込む。
なるほど。
・・・ていう冷静なものではなく、私の中の全開の女子スイッチがオンになりキャーキャー騒がずにはいられなかった。
せっかくだからと5時間かけて、そのフェリーで行ける一番遠くの島へ、それがナクラ。
3つしかないホテルに、舗装もされていない島内で遊べるところはビーチのみ。
隔離されたような、天国と現世の狭間なほど非日常でうつくしすぎるその空間
起きて顔も洗わず海〜濡れたまま朝食〜ビーチで寝転ぶ〜海に浮いたまま寝落ち〜沖から慌ててもどる。
小腹が空いたらゴロゴロと落ちているヤシの実をおじさんに渡すと、ナタで割ってくれ、ジュースをすすり実をポリポリとかじる。
そんな数日の中、ボートでとなり島へ。
お小遣いかせぎ中のちびっこキャプテンたちに連れられ、300余りあるフィジー諸島のちいさなちいさな村へ。
アジア人を珍しそうに見て、ちびっこたちが駆け寄ってくる。悲しくも物乞いが絶えなかった別国のそれではなく、夢の国のキャラクターをみつけたような、うきうきとしたピュアな視線に包まれる。
そして、カメラが珍しいのか、「撮って撮って!」とこぞっていた。
また穏やかなシワが刻まれた牧師さんに案内され、ミサへ。
決して物資が豊富ではなさそうな村だが、華やかな色や柄をまとった女性たちは、明るく穏やかなフィジーを際立たせていた。
天国のような場所で頭をからっぽにする贅沢な時間を過ごす観光客とは裏腹に、垣間見えた貧困。しかしながら、彼らにとってはそれがふつうで、ほんとうにゆとりをもった穏やかな表情で太陽のようなエナジィをくれた。
ホステルのママ、おじちゃん、島へ行けと追い出してくれてありがとう。