サヨリ 可憐から妖艶へ =Fish Nude #4=
ArtBy Takehiko TSUBAKINO on
永遠の少女、サヨリ
サヨリ。サ行で始まる静かな御名前、サバみたいに濁音もない。この魚に対する人間の思い入れが出てます。さらに見た目も清らか、切った中身も清らか。ギャップがないですね、トータルで可憐。この時点で少々エロさには欠けます。
世には「サヨリスト」という言葉がありますNE。サヨリを釣るのが大好きな人のことです。たしかに清らかな女性のようなその姿に、ファンになるのも分かります。私も昔、日本海の天の橋立の辺りで、雪が降る中、サヨリ釣りをしたことがあります。隣の人がサンマくらいの大きさのを釣ってて羨ましかったですね。まあホント綺麗でしたよ。サヨリ的には老練な成魚でも、サヨリストから見ればイメージ上は永遠の少女(笑)。
〈切り落とし、薄造り、博多造り〉
特徴的なSASHIMIとなる。
小さな稚魚だったり、シラウオなどはそれこそ全身透明なのですが、何十センチか大きさのある魚で、穢れず透明なまま。これはサヨリだけですね。
カラダも淡いブルーと銀と透明だけで出来ており、細長いので〈木の葉造り〉や〈細造り〉など特徴的な刺身に自然となります。
<この左にある葉っぱみたいに並べたのがサヨリで、「木の葉造り」です。他はアワビとガシラです>
SASHIMIし続ける。Fish Nudistとして。
人間離れならぬ魚離れした姿をしてるので、ナニしてもサマになるわけです。最初ギャップがなくてツマラナイ、というようなことを言ったんですが、fish nudistとしては、そこを。〈可憐さ〉からどこまで〈妖艶さ〉を絞りだせるか。これからもsashimiし続けます。
〈切り落としを箸で挟んだところ 挟み位置は真ん中やや右でR。〉
ま、今日はちょっと食べてみますか。
まず箸で挟んだだけでイイ。御sashimiの美しさの一面が出ています。今度皆さんも、サヨリのsashimiを箸で挟んでみてください。脂が少ないのでピッと張っていて、これ、いろんなツマみ方するだけでも飽きないです(笑)。店の人に早く食べろよ、と思われても、ちょっと待ってもらってください。フツーにペラっとつまむんではなくて、真ん中をキュッとウエストを絞る感じにするのがコツです。
〈そして満足したら醤油に付けましょう〉
これがまたイイ。トロみたいに脂で弾かれることなく、包丁の切れ目にススッと醤油が入ります。それが透けて映える、ちょっと滴る醤油の濃淡。醤油まで美しく見えてくる、いや〜スバラシイ!
こうやっていつも食べる前に果ててます。
<つづく>