Boy met fish 30 years ago =Fish Nude #13=
ArtBy Takehiko TSUBAKINO on
魚との出会い。最初は3歳くらいのときから父の魚釣りに付いていってたようです。今の私と息子と同じか。。。あとは5、6歳くらいのときには、自分で一人で釣りをしている、という感覚があったことを覚えています。いろいろな魚との出会いがありましたが、一端は同じ町内のおじさん(父の友人)です。
〈私の育った町。いや、村です〉
彼は町内ではウナギ釣りの名人として一目置かれていた人で、父はウナギ釣りが普通の腕だったため、私が6歳くらいでしたか、たまに彼について回っていました。その時のことを小学校の文集に書いてたくらいなので、楽しかったんでしょうね。聞くと今もウナギ釣りをされているそうだから驚きです。
彼の漁法は【ツケ針】で、しかけは一ヒロ(1.5mくらい)の糸と針だけ、前の日の夕方に、ドジョウなどのエサを付け、川の中の釣れそうな場所に沈めておき、翌日の早朝5時くらいに引きあげていく、というものです。エサはオイカワのメスが良い、という人もいましたが、身が柔らかいので、ウナギが食べる前に他の雑魚につつかれる可能性が高くなる。ドジョウのほうがエサ持ちが良いんです。
次にどこに仕掛けるか?ですが、要は〈川の相〉を見て、どこにウナギが入りそうか見極めていくことが大切なんです。石の形、水の流れ、どこならウナギが安心しそうか?です。細長い棒を使って、川底の形を確認しながらしかけていきます。あと、他人に見られないように、隠して仕掛けます。
朝、ウナギがかかっている場合には、糸がピシーッと緊張しているので、それ見てこっちまで緊張 笑。
反対に緩んでいると、雑魚につつかれてエサがなくなっているということで、見てすぐ落胆です。たまにカメが釣れてたり…。
ウナギが掛かっていれば、そこからは本当に生々しい力のやりとりですよ。向こうはシッポを岩の奥の隙間に巻き付けて、引っ張り出されまいと必死です。針にかかってるのは分かってますから、なんとか振りほどこうとして全身の筋肉を使って抵抗してきます。大きいと80cm以上、腕くらいの太さなので、通常の蒲焼きサイズとはパワーが違います。棒で突いたりして怯んだところを手繰り寄せ、また棒でつつきを繰り返し、糸を切られないように釣り上げます。手のひらに喰い込む糸から、ウナギのシッポの「うねり」が伝わってくるのが手釣りの醍醐味ですね。
〈円山川のウナギ。独特の深緑と淡黄色。腹ビレの中にも肉が詰まってるかのような、トロンとした感じがとてもイイんです。触ると気持ちいいですよ〉
口のところに錐などを打って止めて、背開きにします。よく関東が背開きで関西が腹開き、武士の切腹がどうとか聞くんですが、家は背開きでした。
<ウナギの肌の暗色部には幾何学的な模様がうっすらあります。これ何でしょう…畳みたいな?>
このウナギ釣りを含む当時の私の朝の予定(夏休み編)は。。。
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4:30 起床
5:00 ウナギ仕掛け引き上げ、釣れていれば家へウナギを運ぶ
6:00 クワガタ採り、朝一番に行って先行者利益
6:30 ラジオ体操
7:00 ウナギ料理などして朝食
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というふうに朝飯前の仕事が充実してましたね。ひょっとして今よりも? でも今でも朝型で、朝から魚を触っているところは変わってないですね(笑)
〈つづく〉