カンパチ 氷河の魚 =Fish Nude #21=
ArtBy Takehiko TSUBAKINO on
間八は、ブリと似てる魚と思われていませんか。どうしてこうなったのかわかりませんが、アジとサバくらい違いますよ。例えがイマイチですかね。
今回はカンパチの魅力にだんだんと迫っていきたいと思います。まずはいろいろな魚に混ぜてひっそりと外見から。一番上部に、サバに隠れている大きなサクがカンパチです。ブリ(ハマチ)の青緑色とは違って、黄金色を帯びている、なんともいえない色なんですよ。まず皮をむかないで5時間くらい鑑賞しましょう。もちろんアイスパックをひいてイタワリながら。
手前のはマグロですけども、真っ赤ですね、ブリでも天然のものはやや赤いですけどもカンパチは透け透けですよ。これを夕暮れに一枚ずつ剥がして楽しみます。
皮と肉の際<キワ>の、脂と薄皮が、とんでもなく繊細。ブリにこれが出来ますか。いや出来まい。
どこかのお寿司屋さんで、青魚の握りを出すときに、注文が入ったぶんだけそのとき初めて皮から切り分けていく、という話を聞いたことがありますが、たしかに脂の光が違いますよ。ほんとは皮から離した瞬間から酸化していき、みずみずしさ、エロさは失われていきますから。
この脂のサシ。氷河か樹氷のような。パッと見なら、魚の刺身肉の中で、宇宙一、美しいのではないかと思います。
あとはブリになくてカンパチにあるもの。それは弾力。薄造りを重ねて盛ると、こんんなふうにクネクネさせて形を保てるのはカンパチだけです。普段は平造りで出されることが多いので、あまり薄造りを見ることもないですが、私はこの魅力に憑りつかれてしまったんです。
つづく