The motion & The moment. #デンマークの黒く輝くダイアモンド
ArtBy Hiroyuki Toyokawa on
<童話の街>
デンマーク・コペンハーゲンの街は、童話に出てきそうな場所がたくさんある。
街全体は広告などでうるさくなくて、それぞれの調和が良くとれていて、
街を形成する各々の佇まいから、想像力を掻き立てられる。
付け足しすぎない。
そんな控えめなスタンスが伺える、コペンハーゲンの街の様子だった。
そんな控えめなデンマークには、控えめな観光名所がある。
それは、童話作家のクリスチャン・アンデルセンの人魚姫をモチーフにした人魚姫が鎮座する場所だ。
コペンハーゲンでは、有名な観光名所だが、各国の観光客の中では、世界三大がっかりとして挙げられ、
行く価値がないなどと揶揄されがちだ。
確かに、実際に見た感想としては、人魚姫の銅像には大きさとしてのインパクトはなく、ひっそりと佇んでいると形容するのが相応しい。
派手なものを好む観光客にはきっと物足りないことだろう。
しかし、物憂げな様子でコペンハーゲン港を臨む人魚姫の哀愁漂う姿は、想像力を掻き立てて止まない。
童話の世界を身近に感じる国だからこその観光名所であると言える。
<黒く輝くダイアモンド>
『人魚姫』や『マッチ売りの少女』など、アンデルセン童話が息づくデンマーク。
王様は「本は国の宝」として、アンデルセン童話などの所蔵本を、黒く光る宝石箱の中にしまったという。
ブラックダイアモンドと呼ばれる王立図書館がある。
外壁に黒色花崗岩を使用して建てられた図書館の様子は、黒く輝くダイアモンド。
アンデルセン直筆の原稿や、王室関連の貴重な書物や資料が保管されている。
陽が沈んで、建物の明かりが灯る頃。
ブラックダイアモンドが一段と輝く。
淡く輝く街の様子を、ブラックダイアモンドが映し出す。
デンマークを歩いてみると、そこかしこに「飾りすぎることのないデザイン」「調和のとれたデザイン」に触れることができる。
奥ゆかしいデンマークの静かなるエナジィは、心地良い空間を作り出す。
多すぎず、少なすぎず。
それは、生活をする上でも重要なスタンスなのではないかと感じた。
帰りの道すがら、
お店のショーウィンドウをのぞく女性の姿が見えた。
誰かの贈り物を選んでいるのだろうか。。
何か物語が始まりそうな。
そんな想像力を掻き立てられた。