The motion & The moment #高地が生んだデストロイヤー。
ArtBy Hiroyuki Toyokawa on
南米はボリビア。
ウユニの絶景は、言葉にならないほどのエナジィを感じた。
ウユニ塩原に夕陽が沈む一連の躍動は、地球の鼓動を感じているようだった。
時として脅威ともなる自然。
一度、牙を剥けば人間の力など到底及ばない。
自然に生かされている。
そう、率直に感じた。
<高地が生んだデストロイヤー>
ボリビアという国は、日本から行こうと思うとかなり遠い国だ。
ウユニ塩湖はなかり有名なのだが、それ以外にもアクティビティはかなりある。
その中でも、有名なものの一つは”おばちゃんプロレス”だと思う。
民族衣装を着た女性(チョリータ)が、勧善懲悪の興行を繰り広げる微笑ましいプロレス。
ラパスの市街地からバスで向かったのは、盆地の底部が見渡せるくらいの標高にある会場だ。
そこまで大きくない体育館のような開場で、熱き戦いが繰り広げられる。
派手な音楽と共にレスラーが登場した。
フリフリのスカートに、三つ編みを施した長髪の黒髪。そしてフェルトのハット。
愛嬌たっぷりのチョリーターだ。
開場の拍手と歓声をかっさらい、リングへと上がった。
リングに上がり、観客を煽ったチョリータは、デストロイヤーへと変貌を遂げた。
富士山と同等の高地で育まれた強靭な肺活量。
丸々としたボディラインは、今日の試合の為に完全に仕上がっている様子だ。
彼女こそ、高地が生んだデストロイヤーだ。
名前は。。。
覚えていない。
善役と悪役に分かれたレスラー。
ゴングが鳴ると、悪役はなりふり構わず攻撃を仕掛ける。
武器を使って攻撃したり、自分のスカートの中に敵の頭を埋めさせたり、
レフェリーに攻撃を仕掛けたり。
なんだか知らないうちに、観光客の欧米人もリングで攻撃されてたり。。
まさにカオス。
混沌とした熱き戦いは、激しさを増す。
リング内にペットボトルが投げ込まれ、レフェリーには毒霧が吹き掛けられる。
観客席からは一様にブーイングの声だ。
やりたい放題の悪役に、憤慨していたのは大人だけではない。
覆面を被ったキッズも、しっかりブーイングをしていた。
収拾のつかない試合模様に業を煮やしたキッズは、フェンスに乗り出した。
覆面を脱ぎ捨て、鬼の形相で中指を突き立てリングに向かって吠えた。
「お前の母ちゃんデベソ!」
と、言ったかどうかは定かではないが、
未来のデストロイヤーはこうやって育っていくのだと感じた。
<アンデスに抱かれる街>
熱き戦いを見届け、会場を出た。
目の前に広がっていたのはラパスの夜景。
アンデスに抱かれたラパスの街。
家々に灯る黄色い光が暖かく感じた。
南米大陸では、自然を間近に感じるケースが非常に多い。
自然の中で生かされている。
高台から望むラパスの街も、
アンデス山脈から放たれる静かなるエナジィに包まれていた。
続く。