Summer Energy #2 海峡を渡る
市街はボスポラス海峡で二つに割れている。
海峡の北はBlack Sea、南はエーゲ海へ繋がり、西岸はヨーロッパ、東岸はアジアに分かれている場所。陸海の交差。エナジィがそびえていたタクスィム広場は、その西岸の丘の上にあるのだ。
広場をゆっくり歩く、一人の男と4匹の犬に別れを告げて。私たちは東へ行く。
広場から進むと、やがて下り坂が始まる。以前この辺りに住んでいた。懐かしい売店や食堂など一瞥して進む。
やがて海峡が見えてくる。坂がどんどん急になる。
モスクもこんな丘にあるから、上から見ても下から見てもサマになる。そしてアジアへ渡るのはvapurという船、大きなものなら数百人は乗れる連絡船のようなものだ。ドドドド、と大きな鼓動で近づいてきて、それに乗り込んでアジアへ。その対岸も丘だ。
エミノニュの港を離れ、アジア側へと向かう。船は中にも外にも座れるが、こうして外に立っていたくなる。
私たちとクロスするように、海峡をタンカーが通過する。
交差もエナジィ、船も、丘の落差もエナジィだ。これが、イスタンブールのエナジィの元だ。
平坦な街で、川には便利にキレイな橋が架かっていれば、意外と元気が出ない 。げに地形は恐ろしい。
渡った先は、ユスキュダルの市場。私がかつて魚を買った場所だ。魚屋を覗いたが、あの時のオヤジはもう居なかった。
サンマ以上に大きいZargana(サヨリ)。こんな材料があって御sashimiしないんだから、勿体ない。
わざわざ対岸までやってきて、何があるのか。先ずはKanaat Lokantasiのアイスだ。ミルク感がすごいとか、バニラビーンズがどうとかではない、あくまで抑え目。植物の球根などが使用されており、日本でいうと<ユリ根>のようなシブい味だ。
このユスキュダルの丘の途中に、かつて学んだ場所がある。
<つづく>