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元ラジコン少年たちは月着陸の実験機を飛ばす

Space

元ラジコン少年たちは月着陸の実験機を飛ばす

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NASAが、カリフォルニアの砂漠にある小さな飛行機の研究室で働く3人の技術者を紹介している。デレク・アブラムソン、ジャスティン・ホール、ジャスティン・リンク。3人とも子どもの頃、自宅のガレージでラジコン飛行機を作り続けていた。

その趣味が、いまは月や火星への着陸を助ける実験へとつながっている。派手な打ち上げの前に、何年も手を動かし続けた時間がある。その静かな地続きに光を当てた記事だ。

Passion Meets Precision at NASA’s Flight Research Lab (NASA)

出典:Passion Meets Precision at NASA's Flight Research Lab(NASA)
出典:Passion Meets Precision at NASA’s Flight Research Lab(NASA)

この話に出てくるのは、ロケットでも紙飛行機でもありません。翼とモーターとプロペラを持ち、地上から無線で操る小さな飛行機です。日本語で言えばラジコン飛行機。英語では「remotely piloted aircraft」と呼びます。

人は乗らない。手元の送信機で操縦する。NASAの砂漠の研究室が、この小さな機体で月着陸の技術を試しています。作っているのは、子どもの頃にガレージでラジコンを組み立てていた3人です。

ゴム動力ではなく、電池とモーターとプロペラの機体

ラジコン飛行機は4つの要素でできています。揚力を生む翼。回すためのモーター。空気を後ろへ押すプロペラ。そして地上の無線送信機。ロケットは燃料を燃やして真上へ昇りますが、ラジコン飛行機は翼で揚力を得て水平に飛ぶ。ここが違います。

アブラムソンの入り口は、古典的なものでした。NASAによれば、彼の興味は子どもの頃、ゴム動力の棒と紙で作る機体、そしてラジコン模型から始まったといいます。ゴムをねじって飛ばす軽い機体から、電池とモーターの機体へ。高校生のうちに初めての単独飛行を経験し、操縦免許まで取りました。趣味が、乗り物を動かす技術そのものへ変わっていったのです。

研究室で使う機体は、もっと大きい。NASAが作っている新しい実験機は、翼の端から端まで約14フィート、およそ4.2メートル。全長は9.5フィート、重さは約60ポンド、27キロほどです。子どものラジコンとNASAの機体は、大きさこそ違っても成り立ちは同じ。翼、モーター、無線です。

捨てた試作の数だけ彼らの技術になった

ラジコン作りの本質は、失敗の量にあります。翼のわずかな反り。重心の位置。プロペラの角度。どれか一つが崩れれば、機体は真っ直ぐ飛びません。飛ばして、墜として、直す。この反復を何百回もくり返す。

NASAの記事は、3人がそれぞれ自宅やガレージで機体を作り、新しいアイデアを試し、模型飛行のイベントで飛ばしていたと伝えています。3人が10年以上前に一人ずつNASAへ入るより前から、飛行機への情熱が3人を引き合わせていた。ただし、きっかけは3人ともばらばらでした。

記事では研究用の機体を設計し製作することを得意とすると書かれています。何が飛んで、何が飛ばないか。それを手を動かした経験から知っている。ホールは、問題を解く独創的なやり方で知られ、実際的な方法で技術の課題に向き合い、飛行の安全を保ちます。この「手で覚えた」部分が、机の上の理屈とは別の速さを生む。

🖼 本文挿入画像 #1・作業台の模型飛行機と工具のマクロ(1024×1024)

アブラムソン、ホール、リンク、手で作ってきた3人

元記事の主人公 3人が働くのは、NASAアームストロング飛行研究センターの中にある小さな機体の研究室です。デール・リード(Dale Reed)というリフティングボディ航空機の先駆者の名を冠しています。場所はカリフォルニア州エドワーズ、モハーベ砂漠の中。

役割はこうです。アブラムソンが研究室の主任エンジニア。ホールが主任パイロット。リンクがドローン(小型無人機)のパイロット。3人で新しい航空宇宙の技術を、研究室の小さな機体に載せていく。必要なら機体そのものを設計し、作ります。

いま試しているものの一つが、月と火星への着陸を安全に、正確にするための装置です。NASAのジョンソン宇宙センターが開発したこの誘導・航法システムは「SPLICE」と呼ばれ、アルタXというドローンに載せて飛ばしています。宇宙船が狙った場所へ正確に降り、危険を見つけて避けるための技術。これを地上の小さな機体で先に確かめる。

ラジコンとNASAの実験機、どこが同じでどこが違うか

同じ部分ははっきりしています。翼の形をあれこれ試すこと。少しでも軽く作ること。飛ばして、直して、また飛ばすこと。NASAは、小さな無人機を使うことで、実物大では難しかったり危険だったり高くついたりする実験を、素早く安く確かめられると説明しています。ガレージでやっていたことの延長です。

違いは規模と数字の桁にあります。過去のNASAの実験では、飛行機に載せる計測データの通信が70チャンネルを超え、毎秒250回の速さで送られていた例もあります。ラジコンの送信機が扱う情報とは桁が違う。飛ばす前には空軍基地の管制塔へ連絡し、飛行の許可を待つ。安全審査も、かかる費用も、趣味とは別世界です。

それでも、根っこは同じです。子どもがガレージで翼の反りと格闘した時間と、砂漠で月着陸の装置を載せた機体を飛ばす時間。同じ場所から見ています。

手を動かし続けた経験は、設計をどう変えるか

計算だけで機体を設計する人と、自らの手で作り続けてきた人とでは、何が違うのか。ひとつは判断の速さに差が出ます。翼を何百枚も削って、何機も墜としてきた人は、図面を見た瞬間に「これは飛ばない」と分かる。理屈を追う前に、手が答えを知っている。

記事によれば、リンクは長年の実地の経験から、何が働き何が働かないかを理解しているといいます。捨てた試作の数だけ、迷いが減る。これは航空の研究に限りません。ものを作る現場で、繰り返し語られてきたことです。

NASAの新しい機体には、より強力なエンジン、自動操縦、計測機器、補強した構造が加えられていきます。

派手な成果の裏に、何年も燃え続けた小さな火がある。その火は、いま月と火星の方角を向いています。

ガレージで翼を削り続けた小さな手は今では大きくなって、月着陸の実験機へと静かにつながっている

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タグ
NASA, ラジコン, 宇宙開発, 実験機, 月着陸, 火星探査, 航空技術
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