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By Takehiko TSUBAKINO/FISH NUDIST on 2015.04.04

水窪物語 其の一 =Fish Nude #6=

静岡と長野の県境に、水窪〈みさくぼ〉という地区があります。中部日本アルプスの山の中というのは、土地勘のない者にとってはイロイロと想像のつかない場所で、事前には、愛知県の豊橋から在来線で2時間もかかること、人口が2、3千人であること、水窪という名の通り、水が綺麗な土地であることだけが分かっていました。

 

<豊橋から水窪へ。飯田線から川を望む>?

 

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

 

行ったことのない場所、と一口に言っても、テーマパークのようなところではなく、何が準備されているかわからない場所に行くのは、今から紡ぎ出すような楽しみがあります。以前イスタンブールに渡った時もそうでした。

 

もう少し土地の話をしましょう。水窪は、赤石山脈と木曽山脈の谷間で、中央構造線と呼ばれる日本最大級の大断層があり、水成岩、変成岩など、様々な岩石が同居する特殊な場所です。つまり普通なら近くにあるはずのないものが、日本列島の大変動によって一箇所に集まったようなものです。岩石の逢瀬。地球のロマン。水窪の深い谷、色とりどりの岩石、美しい風景の理由がここにあります。

 

飯田線は川を遡上するように走ります。私が現在住んでいる神戸、兵庫県の風景とは全く違います。山の深さが違う。岩石が違う。魚もきっと違います。

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<水窪駅前。谷がとても深く、ここが山脈に挟まれていることがわかる>

 

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

 

『この飯田線のトンネルを掘ろうとして崩落してしまい、仕方なく川の上に鉄橋をつくり、山を避けたから”渡らずの鉄橋”と云われているんです。本来、橋は川の反対側へ渡るために架けるのに、ここでは川の左岸と川の真上だけをずっと走っています、おもしろいでしょう?』

 

本数の少ない在来線の中で一緒になった御二方と、魚や地層の話をしながら、水窪までの時間を愉しみました。

 

<偶然乗り合わせた御二方>

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Photo Credit: Takehiko Tsubakino

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

 

ところで…今回の目的は、水窪の美しい渓魚を写真に収めること。

 

滞在2日しかなく、釣場も分かっていない私がいきなり行って釣れる保証はありません。なので友人のFさんを頼りにして、当地で和菓子店を営む釣り師のKさんに、私が着くころに釣っておいていただくようにお願いしました。

 

<水窪川のフキ>

 

 

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

Photo Credit: Takehiko Tsubakino

 

時は六月、フキが生える山野の渓流のほとりにある、Kさんの作業場に向かいます。Kさんは見事にアマゴとイワナ合わせて二十ほど釣っておられ、栃の実のアク抜きをする桶を生簀にして、魚を生かしておいてくださいました。

 

『セクシーすぎますね』

 

桶を覗きこんで、魚が大好きな人特有の会話をするKさんと私。それをちょっと遠巻きに見る友人Fさん。

 

水窪での物語は、まだ始まったばかりです。

 

〈つづく〉

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椿野武彦/FISH NUDIST

書道家として日本語・中国語の書を修めた後、トルコへ2年間のカリグラフィー留学へと向かう。現地では、アラビア語の書を学ぶ日本人として注目を集めたが、留学期間終了に伴い日本へ帰国。 現在は、魚への愛が高じ、写真家としての活動も活発に行なっている。彼の撮るSASHIMIは、既に欧米のメディアを通じて世界へ発信されているが、当メディアでは、彼の作品だけではなく、「魚の最も美しい姿を撮っていきたい」という彼の想い、"魚のエロ本 Fish Nude"と独特の世界観、表現で語られる世界をお楽しみいただきたい。 (編集による紹介)

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