うつくしきふつう=コーストサイドチリング Faro,Portugal=
ArtBy Naho Inoue on
?ポルトガル最南端、海辺にて
後ろ髪引かれながら、恋したリスボンを離れ寄り道しながら辿り着いたのはファロ。このポルトガル最南端のコーストエリアを拠点にまいにちどこかしらの町のどこかしらへのビーチに向かう。
なにをしに?
なにもしないために。
????
数ヶ月歩き回っているのを一時停止し、惜しみなくのびっとする時間はこの上ない贅沢。
(こんな長期の旅そのものが贅沢極まりないのは重々承知である)
?
バーニングサンとアイスコールド
ポルトガルの海は冷たい。ほんとうに冷たい。一方でぼーっと寝転がるにも40℃近い太陽にじっとりと炙られ続けると、目の前に広がるそのアイスコールドを欲さずにいられない。耐えきれずそのブルーへ駆けていき片足を突っ込んだ瞬間ひるむ、という最高になんでもない時間を何度繰り返しただろうか。
そんな格闘しているリトルジャパニーズのことなんてつゆしらず、隣の友人は悠々とフランス語の本を読み進める。暑くないの?という問いかけにもふたつ返事な彼女は数日後にはこんがりとグリルされていた。
おのおののチリング
”What are you doing?”
?”Just chilling :)”
この言葉の返し。好きなフレーズのひとつだ。なにもしてない、ダラダラしている、のんびりしている・・・特別じゃない、ふつうの時間。でもそのふつうが、ふんわりとゆるりとしたピースな印象を持たせるこのワード。
そしてここには”チル”という言葉がぴったりなひとで溢れかえっている。
その視界になにを見て、なにを思うのか。頭をからっぽにしてなにもかんがえてないかもしれない。
ただひとつ、ここにいるひとびとはみなそれぞれ居心地がよさそうだ。
バカリャウとグリーンワイン
ポルトガルに恋した理由のもうひとつ。
たべもの。
旅におけるマストポイントのひとつ。どれだけ短期滞在でも、ローカルフードは必ずトライする。自論では、どんな建築物や観光地よりも、その地域を現すものはそこのたべもの。
バカリャウというタラの塩漬けを干した保存食。よくコロッケや米に混ぜ込まれてでてくる塩気のある若干ぱさついた飾りっ気のないタラは、ギラギラと体力を奪っていく太陽の下、キリッと広がる海、がんばりすぎてないポルトガルによく似合う。
そこにこの国独自の、夏によく合うグリーンワインの微発泡が染み入り、お漬物やナムルポジションであろうオリーブは、どの料理にもしれっと混ざり、最高のアシストをかます。
その組み合わせは煮込み肉に赤ワイン、餃子にビール、といった黄金の方程式をさらりと超え、突如わたしの中のおいしいもの方程式の上位へと君臨してしまった。
またいつか、かならず、ポルトガルを訪ねよう。なにをするために?
Just chilling ?:)