
The motion & The moment. #静かなる山の躍動
ArtBy Hiroyuki Toyokawa on
<大自然の洗礼>
父島に到着した当日は、あいにくの天気だった。
さらに夜になって土砂降りの雨。
一部では山肌の泥が溶け出し、川の様になっていた。
自然が支配する世界の洗礼を受けた様な感じだ。
<静かなる山の躍動>
明くる日、天気は回復していた。
島内を徘徊してみると、曇天とは違った印象の自然がそこにはあった。
雲はあるものの、青空が見える時間もあった。
太陽の日差しを浴びて、小笠原の海も本来の輝きを取り戻したようだ。
”ボニンブルー”という、小笠原の海特有の深い青が少しだけ垣間見えた。
昨晩の大量の雨を、山はたくさん吸い込んだ。
やがて自然の大きな滝を作り出し、ボニンブルーの海原へと吐き出していった。
その滝の傍ら、昨晩の雨で食事ができなかったネズミも、外に飛び出し食事にありつく。
植物にとっては恵の雨のようだ。
植物が彩るそれぞれの緑は、水を得た魚の様に生き生きとして、
コントラストを一層高めていった。
この島の主役はやはり自然なのだと感じさせられる。
太陽を待ちわびていたのは、どうやら植物だけではないようだ。
島のいたるところには、小動物がたくさんいる。
大きめの葉っぱの上でグリーンアノールが日向ぼっこをしていた。
別のグリーンアノール。
脱皮の最中だったのか、肌の色も茶色く、薄皮がまだ肌にこびりついていた。
実は、このグリーンアノールは島の固有種ではなく、積荷などに紛れて島に迷い込んだ外来種なのだ。
これがまた厄介で、島の固有種の昆虫などを食べてしまうので、駆除の対象となっている存在なのだ。
つぶらな瞳が可愛いのだが、この島では厄介物として扱われてしまっている。
ちょっとイタズラをしてやろうと、長い尻尾をつまんでみた。
驚いたのか、激怒したのか、彼は喉元を赤く染めペリカンのように膨らました。
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<山のエナジィ。海のエナジィ>
眺めのいい高台に登ると、
澄み渡る空の青を映したかのような、ボニンブルーの大海原。
その周りを囲うのは、多種多様な植物が、それぞれの色で着飾った奥深い緑。
一言で、青とか緑とか言い表せない、微妙な色域の世界が広がっていた。
山の”静かなるエナジィ”は陸海空が一つになって、ダイナミックに空間を演出していた。
この島に来た目的は、クジラを見るためだった。
明日は、海の”静かなるエナジィ”を感じに、ボニンブルーの大海原に繰り出してみよう。
続く。