The motion & The moment. #古代劇場が放つ静かなるエナジィ
ArtBy Hiroyuki Toyokawa on
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<悠久の時を重ねた土地>
アジアとヨーロッパの交わる場所。
トルコ。
古代より、幾多の民族・文化が栄え滅び、現在に至る。
自然においても、時を重ね現在までに至る景勝地がある。
パムッカレ。
<古代の温泉保養地 パムッカレ>
長距離バスに乗りパムッカレへ。
ローマ帝国の時代に温泉保養地とされていたパムッカレ。
湧き出る温泉に含まれる石灰岩が、純白の棚田を作り出す。
その棚田に温泉が溜まり、現像的な景色を生み出している。
現在はもっぱら観光地として機能していて、温泉の流れも部分的に止めているようだ。
純白の石灰棚の丘陵地帯を登ると、見晴らしのいいポイントに着いた。
どこの国だかわからない夫婦が記念撮影。
素晴らしい景色をバックに、旦那さんが奥さんをパチリ。
その微笑ましい光景をパチリ。
このお二人に、この写真を渡してあげたい。
ここパムッカレでは、丘を登る為の動線には、温泉が流れている為、
みんな靴を脱ぎ、ズボンの裾をめくって、温泉の温もりを感じながら進んで行く。
丘の頂上には、古代ローマ時代位の温泉保養地を模した温泉施設がある。
石像やエンタシスが転がったスパには、欧米人が優雅にプカプカ。
その近くには、ローマ劇場がひっそりと佇んでいた。
美しく朽ちていく石造りの劇場は、幾度の地震で崩壊した。
復興しては、また地震によって崩壊した。
当時の興隆を想像して楽しむほかない。
当時、これだけの規模の石造りの大舞台で、
どのようなステージが繰り広げられたのか。
開かれた空間で、役者たちの声はどのようにこだましていったのか。
当時の興行を思い描く。
美しく時間をかけて朽ちていくローマ劇場からは、
何も語らずとも、その荘厳さから伝わる静かなるエナジィ。
ただただ中心にあるステージを眺めるだけで、
時間が過ぎていくのを忘れてしまう。
どこの国の女性だかわからないが、カメラを向けるとポーズを取ってくれた。
厳めしい色の石段に、女性の白いワンピースが映える。
やがて、日没の時間を迎える。
観光に訪れた人たちは、思い思いの場所でサンセットを迎える。
純白の石灰棚を、夕日が優しく照らす。
陽が沈みきり、あたりは真っ暗になった。
純白の石灰棚は、部分的にライトアップされた。
日中には見れなかった、パムッカレの夜の顔が、足元には広がっていた。
水の流れによる侵食のためか、幾何学模様が折り重なるように広がる。
ライトアップで凸凹がより強調され、水面のようになっていた。
宿に戻って、近くの日本食屋さんで夕食をとる。
店頭に貼られていたのは、求人募集の張り紙。
パムッカレで一旗あげるのも悪くない。
続く。